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「ふん、実の父親に向かって随分他人行儀な話し方だな。」
エルは片方の口角を吊り上げ、シュラを見下す。
「…あんたは兄さんを見殺しにした…
そんなあんたを俺は父親などとは思わない。」
「見殺しにした?
変な言いがかりは止めてもらいたいな。
テイルは戦死したんだ。
あれは仕方無かった。」
「…あんたが気安く兄さんの名前を呼ぶな…」
シュラは怒りを押し殺しながら、冷静を保ちながら、静かに言う。
「父親が息子の名前を呼んで何が悪い。」
「あんたは父親なんかじゃない!!」
ガキィィィィン!!
シュラの押し殺していた怒りが遂に我慢の域を越え、剣を抜き、エルに斬りかかった。
しかし、シュラの重い剣を、細剣でエルは意図も簡単に受け止めた。
「自分の感情もコントロール出来んとは…未熟ものが!!」
「!!??」
エルはシュラを力づくで吹き飛ばし、吹き飛ばされたシュラは綺麗に着地して、構えた。
エルは片手で細剣を持ち、シュラは両手で長身の剣を持っていた。
「フーッ…フーッ…」
シュラは怒りを必死に抑えようと、呼吸を整えた。
「…ふん…今さら怒りを抑えたところで戦場ではその感情のせいで殺されるぞ。」
シュラはエルの言葉など無視して怒りを治め、剣を鞘に収めた。
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