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勝った。後は帰りに鉢合わせしないようにすればいいだけだ。
ちなみに教室で先生にも子供の事を聞かれたけど、そこはもう親戚の子供でやり過ごした。
ついでに言うとクラスメート達は『赤ちゃんが一人から二人になっただけだろ』みたいな雰囲気を醸し出していて誰も何も聞いてこなかった。
それから俺は二人の子供の相手をしていたら、補習なんてあっという間に終わった。
……ここからだな。
俺は凛に見つからないように教室から下駄箱、下駄箱から家へと伊賀の忍者並みに素早く移動した。
……つもりだった。
俺は無事に下駄箱に到達した事で油断しており、いつの間にか背後に忍び寄っていた影に気付いていなかった。
「うおっ!?」
そしてその影は俺のカッターシャツの襟を引っ張ると、続けざまに俺にビンタを喰らわせた。
こんな事をするのは一人しかいない。
「おい凛!何すんだ!?」
絶対怒ってる。長い付き合いで培った確かなる俺の直感がそう言っている。
俺、今日生きて帰れるかな?
だが弱気になったら一瞬で凜に攻め込まれる。だから俺はとりあえず強気に攻めてみた。
しかし返ってきたのは意外な言葉だった。
「私って……そんなに信用ないかな?」
「え?」
もしかして……泣いてる?
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