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「ちょっと待って」
俺はその現状を把握するために凛の左手を掴んで止まった。
凛は何を勘違いしたのか、いきなりの事に驚いていた。
「な、なによ?」
「あれってさ……三浦先生と奥さんじゃね?」
だがそんな凛の変化は無視して、俺はオムツコーナーの一角を顎でクイっと指した。
「三浦先生ってあんたのクラスの担任の?」
「うん」
「う~~~ん……あっ!」
凛もしばらく見てようやく気付いたようだ。
そう、俺たちの目の前には新婚ほやほやで子供が産まれたばかりで幸せの絶頂にいる三浦先生が、生徒の補習が終わったばかりで疲れているはずなのに買い物に来るという良き夫、良きパパを演じていたのだ。
「凛、隠れよう」
こんなとこ見られたら、間違いなく面倒な事になる。
俺は凛の手を引いてその場から逃げた。
凛も空気を察してくれたのか、素直に着いてくる。
全てが順調だと思っていた。しかし……現実は甘くなかった。
「あら、あなたはいつもこの子の面倒を見てくれている生徒さんよね?」
逃げようとした矢先、いつの間にか近くにいた先生の奥さんに見つかってしまったのだ。
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