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カタカタと、俺は湯のみが二つ乗ったお盆を震わせていた。
決して何かに恐れている訳ではない、緊張しているからだ。
落ち着くんだ俺、凛はただの幼なじみじみではないか。
「どっ……どどどどうぞ」
俺の震える手で差し出したお茶を凛は何も言わず、まるで照れ隠しのようにほぼ一気飲みした。
「……熱っ!」
……熱々のお茶を。
「何で熱いお茶なのよ!?普通は冷たい麦茶でしょ!」
その事に凛は当然のように怒ってきた。
ったく……こいつは日本の風情ってもんを分かってねーな。
って言おうとしたけど、さすがに俺も熱くて飲めなかったので冷たいのを持ってきた。
「あぁ、生き返る」
「おっさんかよ。……あ」
その飲みっぷりと言葉に俺はらつい思っていた事を口に出してしまった。
「いや、あの……ごめんなさい」
戸惑い謝りながら、俺は自分で言うのも何だが見事なバク宙土下座を決めた。
しかしそれは効果をなさなかったようで、気が付けば俺はぼろ雑巾となっていた。
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