空いた心

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鳥のさえずりが聞こえる、清々しいまでに晴れ晴れとした朝。 何度目かの汽笛の音で、一人の少女―天宮澪は目を覚ました。部屋をザッと見回して、自分がレクサリア皇国行の客船の中である事を再確認した。 清々しい春の陽気とは正反対に、澪の顔は晴れない。 澪はいつもの服に着替え、朝食のため船のレストランへと足を運んだ。 朝食を終え、澪は潮風に当たるべく、船のデッキに来ていた。 「もう二年か…」 澪は潮風に当たりながら、そう呟いて今までの―二年前の出来事に思いを馳せていた。 刹那との出会いから二年前の争乱の終幕。澪は晴れない、曇った表情で、レクサリア皇国帝都ティルナノーグの方角を眺めていた。 ゴーと目的地への到着を、汽笛の音が知らせる。 澪は一度部屋に戻り、船が停止するのを待った。 再び汽笛が聞こえると、澪を乗せた船は、レクサリア皇国帝都ティルナノーグに到着した。 船から降りた澪は、ティルナノーグ王宮へと足を運んだ。 王宮では澪の顔は知れ渡っており、すれ違う人は皆、澪に挨拶をしてくる。その度に澪も挨拶を返す。 「よっ!澪」 澪が王宮内を歩いていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。澪は声のする方へと視線を移動させる。 「久しぶりね、アキラ」澪は、蒼白の髪を揺らし、白の軍服、青のマントに身を包んだ、自分と同年代の少年を見て、言葉を返した。
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