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医者は私に命に別状はないということ、また頭を強く打ったことによる記憶障害があるかもしれないことを告げた。
他2名は警察の関係者らしく、事故当時のことを詳しく教えてくれたのだが、私は事故前後のことが抜け落ちてしまったかのように覚えていなかった。
その後 私は治療や検査などで何週間か入院した。
仕事の同僚や上司などが見舞いに来てくれていたのだが、写真の人が現れることはなかった。
また見舞いに来てくれた人に聞いても、写真の人が誰なのかわからなかった。
ただ誰かわからないだけで、その写真が手元にあることで気味が悪いとか怖いという感じはしなかった。
むしろ微笑んでいる写真の人を見ると穏やかな気持ちになり、癒されるような気持ちになった。
記憶にはないけれど、私にとって写真の人が大切な人なのかもしれないと思った。
また入院生活において写真の人は、私の心の支えの一つとなっていた。
私は無事に退院することができたのだが、失った記憶が戻ることはなかった。
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