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信濃にあるは善光寺。
その裏山には、小さな小さな妖の狐が住んでおりました。
狐は、善光寺の僧に餌を貰い、時には山で迷った者を善光寺へと導くので、妖ではありましたが、仏の使いとされておりました。
狐は、導きの松明のようだということで、灯と名付けられ、近隣の者たちと共存して生きていました。
永禄は四年のことでした。
雪の多い方から来た長尾という男と雪の少ない方から来た武田という男が戦うというのです。
灯と共存していた人々は、善光寺の加護の下、寄り添うようにして生きてきたので、戦など、自分達を蹂躙するだけだと知っています。
灯は、共に生きてきた人々の為、山に居る他の狐たちと話し合うことにしました。
戦をする人々から、なんとか善光寺を守れないか。
妖狐達は、善光寺に迷い人を届ける代わりに封印などをされずに済んでいるのです。
善光寺は妖狐達にとっても庇護者でした。
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