【32】エピローグ

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「この後に及んでまだ抵抗を……!」 時王の胸部に現れた銀色の魔陣に魔力を送り込み、必死に魔術を維持する。 双方は睨み合いながら、残量など考えず、可能な限り魔力を放出し続ける。 時王は押し負ければ、間違いなく無抵抗のまま殺される事になる。 一方、レンもこの機を逃せば時王に撤退される可能性は十分に考えられ、最悪の場合は反撃を受けて敗北する事も有り得る。 どちらにとっても譲れない状況であり、両者の魔道を濁流の如く魔力が駆け抜け続けていた。 時間が経つに連れ、勢いは減退するどころか増す一方であった。 生死を懸けた極限状態の攻防の最中、ふと視線を上げた時王の視界に“あってはならないもの”が飛び込んで来た。 「……!?」 それは宙に浮いた三枚の魔符。 夕焼け空を浮遊しているようにも思えるが、その夕焼け空も偽物の“無限史”によって再現された光景なので、実際には天井に貼り付けられているという事になる。 そして、それらの札全てに“球”という文字が記されていた。
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