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その魔術は古より禁忌とされてきた。
本来は神のみに許された技である。
時間と空間。
特に時間は時界流という絶対的な制約が存在する。
それを今、時王は破った。
時を統べる者になど誰も逆らえない。
だからこその禁忌。
そんな圧倒的な力は世界の筋書きに書き換え、調和を乱してしまう。
そうなれば、“彼ら”は黙っていない。
“彼ら”は役割を演じる。
物語を盛り上げたいから。
“彼ら”は調和を維持する。
筋書きを守りたいから。
“彼ら”は物語を蒐集する。
“枢機卿”が望むから。
そんな“彼ら”が禁忌を犯した罪人を野放しにしておくことなど絶対に有り得ないのだから。
音も無く現れたのは一人の銀髪の男性。
紫の絹帽子を被り、片眼鏡が怪しく光る。薄く白い手袋をつけ、右手には銀時計。
「ごきげんよう、我が友よ。
この時が来るのをずっと待っていました」
右腕には銀色の腕輪が嵌っていた。
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