【32】エピローグ

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「……!」 その男の到来を受けて、一瞬にして時王の表情が蒼白に染まる。 絶対的な“時”の力を得て、圧倒的な優位性を誇る筈の魔術師はひどく狼狽していた。 「“お師匠様”の転生を防ぐ為、私の息子夫婦を殺害し、孫娘に邪気を植え付け、その上、“無色”の“管理権限”を奪ったその罪……ここで全て清算してもらいます」 銀色の瞳が一人の罪人を映し出す。 「……“管理者”!」 この“時”が完全に停止した筈の世界で自由に動けている事自体がアルドの異常性を物語っていた。 「ああ、後、“無限史”の贋作も罪に数えなくてはなりません。 “龍人”達が聞いたら、さぞかしお怒りになるでしょうから」 銀髪の紳士は一歩一歩踏み出す。 対照的に時王は彫刻のように動かない。 「さあ、始めましょう。 常人には決して体験出来ない死に方をさせてあげますから」 アルドの腕輪が明滅すると、彼の周囲に無数の弓が出現する。 既に銀色の矢が弦につがえられていた。
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