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「ぁ……ぁ……!」
床を這って逃げようとする時王。
視力を奪われながらもアルドに背を向けて退避を試みる。
「逃がしませんよ、第二波、発射」
宙に整列する弓に音も無く現れた銀の矢がつがえられる。
アルドが右手を上げると、射手を持たぬ弓から銀の矢が一斉に発射された。
「が……ぁ……ぁ……!」
脳天にまで矢が達して尚、時王の心臓は止まらない。
やがて、銀色の矢は砕け散るが、瞬間的に全身の傷が塞がる。
視力、聴力も即座に回復した。
「前菜ですよ、じっくり味わって下さい。管理者法典七番――【幸せなエータ】」
アルドの足元に銀色の魔陣が展開する。
中央には“η”と刻まれた銀の石版が現れた。
「……!?」
自らの身体が銀色の光に包まれるが、特に異常は現れない。
しかし、何らかの細工を仕掛けられた事は間違いなかった。
「ああ、安心して下さい。
今、この場にいる者は“自殺”が出来なくなる、それだけの事ですから」
一見すると幸せを呼ぶような優しい力。
しかし、見方を変えれば悪魔の所業とも言える。
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