【32】エピローグ

35/36
15161人が本棚に入れています
本棚に追加
/832ページ
「さて、先程の質問の模範解答です……一番苦しい拷問、それは……」 銀の矢が豪雨の如く、降り注いだ。 時王の絶叫が辺り一帯に響き渡る。 ・・・・ 「死ねない、拷問ですよね。 永久の苦痛、無限の殺戮……いかなる武人、魔術師と言えど、所詮は人の身。 身体より先に精神が根を上げます」 何度も。 何度も。 何度も。 幾度も矢が降り注ぎ、その度に時王の苦悶の叫びが響き渡る。 「ハァッ……ハァッ……ガッ!」 「ああ、別に何も吐かなくて結構ですよ。貴方の精神が崩壊すれば、“彼”も簡単に引きずり出せるでしょう」 しかし、時王は死なない。 いや、死ねない、というのが真実だった。ただ、痛みが蓄積されていく。 「地を支え続けるアトラス……。 幾度も心臓を啄まれるプロメテウス……。少しは彼等の心境を理解出来たのでは無いでしょうか。 良かったですね、貴重な体験が出来て」
/832ページ

最初のコメントを投稿しよう!