ボロ屋

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ところが彼女の口から出た言葉は、意外な言葉だった。 「可愛いわねー! お母さんにも抱っこさせて」 そう私を、軽々抱き上げ抱き締めた。 柔らかい感触に 暖かな温もりに 優しい石鹸の香り。 人に抱き締められるのなんて、どれくらいぶりだろう。 気付いたら、僕の喉からは ━━ゴロゴロ と変な音が出ていた。 子ども達は、僕が抱っこされているのをお母さんの周りで笑顔で見守ってくれていた。 あぁ...... 暖かい。 人に抱きしめられるのって、こんなに暖かな気持ちになれるんだ。
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