#001 空中庭園

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それは、 真っ白でもなく、真っ黒でもなかった。 唯、己の存在を誇示しているような、そんな装飾品でもなかった。 じゃあ、何か、と言われてみるとそれは空中庭園、だった。 笑う姿はまるで薔薇。 微笑むときには染まる頬は、まるで‥‥そう。骨董人形のように滑らかで白い。 汚れたものは触ってはいけない代物。 住んでいる場所は、お城。 いつも寝ている寝台には、天外。 食べ物は、あまぁい、あまぁい、お菓子だけ。 体重は増えないし、身長も伸びない。 永遠に生きる貴方は、 まるで『空中庭園』。 貴方の甘い甘い誘惑に勝てる物はいなく、ただそこにあるのは心地好い死。 嗚呼、なんということでしょう。 覚醒剤よりも填り易く、 睡眠薬よりも良い眠り。 即ちそれは、 『愛』なのでした。 -END-
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