#002 迷宮時計

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知らないわ、知らないわそんなこと。 貴方が今、此処に来るだなんて。 嗚呼、どうしよう。 綺麗にしなくちゃ。 でも、 どうしてかしら? 病気だった私の心が、 だんだん真っ白に染まっていくの。 心が「辛い」と 体が「痛い」と もう言わなくなったわ。 それは貴方のおかげなのかしら? 貴方が居ない真っ暗な道を一人でさまようのは、知ってる道も平坦な道もまるで迷宮。 私は目が見えなくなったかのようになってしまうのです。 貴方が居ない時間はとても寂しく、いっそ死んでしまえたらなんて。 時が止まったように思考が止まる。貴方が居なきゃ何も出来ない。 心の病になると云う、脆い私。 その私の時を動かすのは、時計しかないのに。 同じデザインじゃなきゃ、イラナイわ。 だって、 素敵でしょ? こんなにも待っていたのは迷宮時計。 ほら、 貴方が来る音がする。 -END-
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