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神なのだからと言われればそうかもしれない。
けれど、男を侍らせ、薄い布の服に装飾品をたくさんつけ、豪華に着飾ったその姿は、まるで贅沢三昧の女王様だ。
まわりの侍らせた男が差し出す果物を手にとり、ナチさんの話を聞いているのかいないのか、シャグラーラは果物を口に含む。
その唇が妙になまめかしい。
綺麗な人だとは思う。
神とは思えないけど。
「そなた、名はなんと申す?」
こちらを見下ろすように見ながら、シャグラーラはペイに尋ねた。
あたしやメリーは眼中にないらしい。
「…ペイだけど」
ペイはシャグラーラをいぶかしげに見ながら答える。
「わらわのもとへくるがよい」
シャグラーラは目を細めて笑い、ペイを軽く手招きしてみせる。
あたしもメリーもここにいるんですけど?
あたしたちには、何も言わないの?
ペイはあたしやメリー、ナチさんを見る。
「お願いします。シャグラーラ様を怒らせることがないよう、従ってください」
ナチさんはそうペイに言い、ペイは渋々といった感じでシャグラーラの近くへと寄っていく。
「リジーさん、メリーさん、お二人は私と共に私の家へと参りましょう」
ナチさんはペイが歩いていくのを見ると、立ち上がり、あたしとメリーをこの場から遠ざけるように言う。
「ですが、ペイ様は…?」
「シャグラーラ様に気に入られたようなので、お相手していてもらいましょう」
ナチさんは家の立ち並ぶ場所へと歩きだし、あたしとメリーは顔を見合わせ、ナチさんについていくことにした。
その場所が見えなくなる前に、ふと振り返ってペイを見ると、ペイはシャグラーラに絡みつかれるように抱きつかれていた。
誘惑されているのだろうか?
ペイのことだから、そう簡単に誘惑にのらないような気もするんだけど。
女好きって感じをペイに感じたりはしない。
というか…、ねぇ?
あたし思うんだけど、そのシャグラーラの誘惑にはのらないほうが身のためのような気がする。
あたしとメリーは水浴びをして、あたしはメリーに髪を結ってもらって。
こちらにこないペイを不安に思ったりしながら、ペイが戻ってくるのを待つ。
日は傾き、空が夕暮れに染まりつつあった。
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