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砂漠に…雨?
あたしが不思議に感じて外を見るとほぼ同時に、ナチさんが青ざめた様子で外へと飛び出していった。
あたしとメリーもナチさんを追いかけるように外に出る。
空は既に暗くなっていた。
集落のいたるところに置かれた明かりがあたりを照らしている。
雨が…。
砂漠の熱で少し焼けた肌に、なんだか気持ちいい。
あたしは雨を仰ぎ見る。
「シャグラーラ様…。ラーラっ!!」
ナチさんは空を見上げ、呟くように口にすると走り出す。
なに?やっぱりペイのやつ、怒らせちゃったの?
でも怒ると雨が降るのなら、砂漠に緑が戻りそうでうれしくないかな?
あれ?なんか違う?
暗い空には稲光が走る。
すごい音。
いかにも怒りの表現って感じ。
「リジー様、参りましょう」
メリーに声をかけられ、あたしはナチさんの後を追うように、シャグラーラとペイのいる、あの台座の広場へと向かった。
広場にはナチさんとペイがいた。
その二人の前には…巨大な白蛇がいた…。
たぶん、あれがシャグラーラなんだとすぐにわかった。
「よぉ」
ペイはあたしとメリーに気がつくと、笑顔を見せて挨拶してくる。
呑気すぎない…?
「ちょっと、ペイっ。シャグラーラを怒らせたの?」
「だってさ、あんまりしつこく絡んでくるから。酒を飲ませまくってやったら眠りこけて、あんな姿になっちまいやがった」
ペイは白蛇を仰ぎ見る。
何mあるのか。
白蛇は頭を持ち上げ、頭上高くからこちらを見下ろし、赤く細く長い舌を出したり引っ込めたりしている。
そのいかにも爬虫類といった瞳がペイを強く睨んでいるように感じられた。
「ナチさんよ、俺がここであいつを倒しちまったら、俺は斬られるのか?」
「……シャグラーラ様を…倒せる者などおられないでしょう…」
ナチさんは頭を抱え、地面に膝をつく。
「それは倒してもいいって意味に受け取っていいんだな?俺はあいつに喰われたくもないからな」
ペイは腰に下げた剣を鞘から抜き、手にする。
あたしはメリーに一瞥すると、剣を手にし、メリーも白蛇に向かって構える。
神様を倒すとか、とんでもないことのような気がするけど…、ねぇ?
ペイが食べられちゃうかどっちかなら、倒すしかないんじゃない?
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