砂漠の民

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「リジーさんたちをこの集落へと招いたのは、ラーラの姿を見せる神を憎く思い、その姿をかえてもらうため。つまりはよそ者であるリジーさんたちを…」 「もういいわ」 あたしは泣きそうになりながら語り続けるナチさんの言葉を止めた。 そこまで聞けばわかる。 あたしたちは生贄にされそうになっていたということだ。 ペイが気に入られたことによって、すぐに生贄にされなかったというか、その前にペイが怒らせたというか。 とにかく、そういうことを口にするのはつらいだろう。 「あの神様はもう倒していなくなっちゃったんだし。ね?」 あたしがそうナチさんに声をかけると、ナチさんは涙を零した。 「ラーラさんが見ていらっしゃいますわよ?」 メリーがナチさんに声をかけると、ナチさんは涙を拭った。 「あなた方には感謝をしております。ラーラもこのように生きて戻り…。本当にありがとうございます」 ナチさんがそんなふうに言ってくれるから、あたしは少し照れてしまった。 そして残った女性たち。 このオアシスで暮らすにしては人数が多すぎる。 しかも若い女性の姿なのに、話してくれる内容は歴史について書かれた本の内容を今のことのように語ったり。 つまりは何百年前に生きていた人だったりするわけで。 帰るべき場所を持たない人がほとんどだったのだ。 「城なら…受け入れてくれるかなぁ?」 「シシルに戻るのか?」 ペイに聞かれ、頭を悩ませる。 今戻ったら、また閉じ込められそうな気がするからいやだ。 「聞いてみることができればよろしいのでしょう?こういう魔法がありますわ」 メリーはいいことを思いついたとでもいうように、その魔法を見せてくれた。 それは遥か遠くの景色を映し出す巨大なスクリーン。 けど、最初にそこに映ったのは頭。 髪がどアップになっている。 聞いたことはあったけど、見たのは初めてで、更に頭とは…。 「あら?おかしいですわね」 メリーがスクリーンを眺め呟くと、そのスクリーンに映っていた頭が振り返った。 ルウォークだった。 「姫っ!」 ルウォークの叫ぶように呼ぶ声が聞こえる。 どうやら向こうにもスクリーンがあって、こちらを見ることができるらしい。 「あ。ルウォーク、久しぶりぃ」 あたしは軽くスクリーンの中のルウォークに手を振ってみせた。
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