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カランカラン。
「どうかしましたか?」
何度も叫んでやっと中から人が出てきた。
「この猫、車に跳ねられたようなのです!!」
――どのくらい経っただろう――
「残念ですが…この病院では限界でした。」
医者の腕には冷たくなった猫が抱かれていた。
「…何とか助からないのですか!?」
何度も求めた…
だがそれは無駄だった。
「私も…お前と同じように死んでいくのだろうか。」
自分と同じように孤独な猫が、誰にも愛されることなく死んでしまった。
藤堂には何とも言えないような哀しみが込み上げてくるとともに、梨紗の泣き顔が浮かんできた。
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