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ふわ……
温かく肌触りの良いストールが梨紗に優しく掛けられた。
「お嬢様。お風邪を引いてしまいますよ…」
「藤堂さん…」
「何かあったのですか?」
いつもより元気のない梨紗を心配そうに見つめ囁くように言う。
少しの沈黙の後、梨紗は口を開いた。
「…猫がね、ずっといるんです。学校の帰り道に…車からいつも見えて…」
「…猫…ですか?」
「すごく心配で…でもお兄ちゃんたち、猫苦手でしょ?だから言えなくて…」
「お嬢様……」
梨紗の哀しげな表情に胸が締め付けられるような痛みを感じた。
「その猫も…独りぼっちなのですね…」
「えっ?」
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