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所変わって、その神殿から海を越え、遥か東に位置する島国のとある小さな丘。
周りが森となっていて、人里からひっそりと隠れる様にある。
夜、その丘の上に月明かりで浮かび上がる人影が一つ。
人影は、白い大きな石に前で片膝を着いていた。
石には何か文字が彫ってあるが暗くてよく見えない。
蒼白い光で照らし出された人影は、顔はよく見えないが外套を羽織り、長い髪を後ろで結っていた。
石の前で右膝をつき、左手を地面に降ろし、右手を左胸に当て黙祷している。
どれくらい時間が経っただろう。
空に浮かぶ月や星たちの位置が大分変わった頃。
ようやく人影は立ち上がり、空を見つめて呟いた。
「あれから二百年か……。まだ逢いに逝けない、エ――」
そこへ風が吹き、木々のざわめきにより、その呟きの最後は掻き消され、人影もいつの間にか居なくなっていた……。
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