第一章 神を殺した者

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 不意にエリカの足が止まった。 (……多いな) エリカは心中でそう呟くと空へ向け掌を翳した。 「我、空を統べ、蒼を欲す。我呼び声に応えよ、天の蒼弓【エルヴァリーテ】」 彼がそう唱えると翳した手に大きな弓が握られていた。 それを弓と言っていいのか……。 東方の島国の剣――刀――その中でも大きな“太刀”と呼ばれる物を二振り、柄の部分を繋げた様な形状をしている。 その上、それには弦すらなく最早刃物といっても間違いではないだろう。 エリカは不造作にそれを構えると、まるでそこに弦が在るように“引く”と、それを“射た”。 「グォォー!」 シュッと微かに空気を震わせる音がすると、少し遅れて獣の悲鳴が森に轟いた。 それを聞きながら、エリカは向きを変え次々に“射て”いく。 その度に断末魔の悲鳴が森中に響きわたる。 しばらくして、エリカが射るのを止めると、風すらやんで森は完全な静寂に包まれていた。 「……粗方、一掃したか」 彼はそう呟くと再び歩を進めて行った。    
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