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涙が止まらなくて泣き続ける私の頭を史郎ちゃんは優しく撫で続ける。
「姉ちゃんはさ、私の事が嫌いなのかな…私、なんかしたのかな…」
「真美子は別に紗菜の事が嫌いな訳じゃないよ。紗菜もなにもしてないし!ただ今日はさ、あいつ学校で嫌なことがあったんだよ。だから、気にすんなー」
私は顔を上げて史郎ちゃんを見る
史郎ちゃんがにこっと笑った。
「送ってくから家帰るぞー!さっき覗いたら紗菜んちハンバーグじゃん!うらやましー、うちなんか今日卵焼きだけだぞ?」
いつもの史郎ちゃんの明るい声に、思わず顔が笑ってしまう。
「いーじゃん!私、おばちゃんの卵焼き好きだよ!」
「紗菜!それ母ちゃんの前で言うなよ!調子に乗って毎日作り続けるからさ!」
「…ブッ!アハハ!」
おばちゃんならやりそう、と思ったら声に出して笑ってしまう。
そしたら、急に心が軽くなった。
「…うん、家に帰るかー!」
「おぅ!行くぞー」
史郎ちゃんが私の手を取り、二人で笑って、家に帰った。
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