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=亮
=報告
=06/** 22:53
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冬二と付き合うことになった。
「……」
へー、そうなんだ。
風呂あがりで水の滴る髪をそのままに、愛想のカケラもないメールを何度も読み返す。
冬二の奴…良かったな。
ずっと片思いしてたもんな。
ガキの頃からツルんでて、奥手なあいつには俺が最高の女を見つけてやるなんて息巻いてたけど…高校入ったら、冬二は天塚に一目惚れしたあげく他には目もくれなくなった。それでも変わらず奥手なあいつを、
結局放っておけなくて、俺は要らぬお節介ばかり焼いていた気がする。
「どっちが告白したんだろ…」
携帯画面を縦にしても横にしても、簡素な文面からは何も読み取れない。件名を報告とつけるからにはもうちょっと何か書いて来い、何て不精者なんだ天塚亮。そもそも冬二は何がよくてこんな奴に惚れたりしたんだ。
『怒ってるのか?義経』
自分を飾らない冬二。頭が良くて優しくて自慢の幼なじみ。
『天塚は男…だろ。友達の一番とかじゃ駄目なのか?』
『親友はお前だけでいいよ』
『……バァカ』
バカ野郎。
冬二の大バカ野郎。天塚なんかに惚れちまいやがって…
人の気も知らないで。
そこへ再びメールの着信音が。
=亮
=件名なし
=06/** 23:10
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佐倉って、もしかして冬二が好きだったんじゃねえ?
デリカシーのかけらもない。こんな奴とお前が付き合うの本当は絶対反対なんだぜ?冬二。だけどお前が幸せなら祝福するさ。明日になったら笑って「おめでとう」だって言ってやる。だから、どうか、
(今夜は…)
親友は俺だけだと言った、お前の残像を胸に眠らせてくれ。
END
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