88人が本棚に入れています
本棚に追加
少し眠くなってきた。
「ここで寝るの?」
「んー…」
「津田」
机越しに伸びてきた手が肩を揺さぶる。肘をついた手に額を預けて、重い瞼を閉じかけたとき…蜻蛉の声が
「津田…襲われるよ」
思ったよりもずっと、近くで聞こえた気がした。
顔を上げると、彼はさっきと同じ場所に座っていた。俺の肩を揺らしていた手も今は机の上に無造作に置かれている。
不意に、思い出した。
「蜻蛉、昔から実は性格が悪かったろう」
蜻蛉は、薄い唇を綺麗に弓なりにすると
「気づいてたのは津田だけだったよ」
と、艶やかに微笑んだ。
最初のコメントを投稿しよう!