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佐倉義経。
冬二の幼稚園からの幼なじみ。
「ホモってのには驚いたけど、亮君イイコだし俺もそんな事で友達やめたりしないし、冬二とだって俺よか仲良いくらいなんだから、告白すんのも全然アリなんじゃない?」
ミルクたっぷりのカフェオレをストローで啜りつつ、佐倉が言った。
「俺はホモじゃねーよ…つか男は冬二しか好きじゃない」
「へえ?」
じゃあ俺も範疇外なんだ?と、首を傾げて微笑むイケメンに、精一杯の愛想笑いで大きく頷く。
「冬二をお前と一緒にすんな」
「わぁ、恐い顔!」
亮君の笑顔ほど恐いものはないよね、とケラケラ笑うお前なんかと(冬二の事は相談しても)誰が友達なもんか、大っ嫌い!
小さな黒目を揺めかせ、切れ長の目をそっと臥せる。
教室の窓際の席に、足を投げ出して座る彼を初めて見た…その一瞬で恋に落ちた。
緩く立たせた金色の髪、
シャープな鼻筋、
痩せた頬に薄い唇、
まるでライオンみたいな君は
外見からも、規範に忠実なばかりの俺とは気が合いそうになくて、きっと当然のように女の子が好きで、恋をするには絶望的な相手で…
なのに、
それでも
どうしても諦められなかった。
君に近づきたくて思いきって話しかけた。そしたら、容姿とは裏腹に本当はすごく繊細な人なんだと知って、もっと好きになった。諦める事なんてますます出来なくなって、
「お前、両思いらしいよ」
「義経」
「長かったなぁ」
「…うん」
もう絶対、自分を好きになってもらうしかないと思った。
『俺、矢筒冬二。天塚は…下の名前は何て言うの?』
『…亮』
「待ってた。亮が俺を好きになってくれる日を、首を長く長くして待ってたんだ」
END
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