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意識がハッキリとするまでは二週間ほどの時間がかかった。
「じゃあ、今日から大部屋になりますので……」
看護師が僕の母親に説明している様子を僕はベッドの上からのんびりと眺めていた。
今までは個室にいたらしいが、その記憶が一切ない。
唯一、覚えている事があるとすれば、傷だらけのじぶんが、痛みの為に暴れているのを両親やおじさんが押さえているシーンだ。
天井からそれを見た覚えがあるということは、かなりヤバめの状態だったのだろう。
とにかく、自分が果たしてどんな事故で、どのような状態で運ばれてきたかも覚えていない。
人間の記憶というものは恐ろしい出来事があると記憶をなくすらしい。
自分を守るための自己防衛ってやつらしいが、とにかく記憶は無くなっていた。
ひがな一日、訳も分からないまま病室のベッドで、快眠をむさぼる事しか出来なかった。
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