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『ちょっと待って!』
立ち去ろうとする猫を、隼人は呼び止めた。
「なんだい?」
猫は顔半分だけをこちらに向け、言った。
『あの……その……』
「?」
『俺と……友達になって!』
「……え? 俺はいいけど、君……変な目で見られないかい?」
『友達なんて……いないよ。だから毎日寂しい思いするより、友達と一緒の方が全然いいもん……。それに喋る猫が友達なんてみんなに自慢できるし』
隼人は俯き、そう言った。それに答えるように、猫はこう言った。
「君、名前は?」
『え……俺の?』
「君以外に誰がいるんだい? これから友達になるのに、お互いの名前を知らないなんて、変な話だろ?」
隼人は、うっすら目に涙を潤ませ、微笑みながら自分の名前を言った。
『俺……隼人。陸奥隼人!』
「……むつ……はやと君か」
『うん! 今度は君の番だよ』
「俺の名前は、セツナ。よろしくね、隼人」
『……うん!!』
こうして隼人とセツナは出会った。
ここから物語はゆっくりと……だが、確実に動いていく。
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