小夜の寝覚

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当の私はといえば、特に驚くこともなく、冷めた気持ちでこの事実を受け止めていた。 多分、心のどこかでこうなることを予想していたのだと思う。 天皇さまが目に入れても痛くないほど可愛がっている皇太子さま、天皇さまに気に入られているお父さま、皇太子さまと同じ年頃の私……。 私は、皇太子さまの顔を思い浮かべてみた。 といっても、たった一度だけ、しかもかなり遠くから拝見しただけだけど。 色白で線が細く、どことなく弱々しくて頼りない印象があった。 お祖母さまであられる天皇さまや母宮さま、ご姉妹の方々が皆いきいきと輝いているのに対して、なんと生気の感じられない方なのだろうと思ったものだ。 体があまりご丈夫でないとは聞いていたが、あそこまで存在感が希薄とは想像もしていなかった。 その人の妻になるのか……。
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