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葛城は、そんな私を見下すように意地の悪い笑みを湛(たた)え、大王に何事か耳打ちをした。
大王は何も言わずに、そのまま邸(やしき)の奥へと姿を消す。
……初めから仕組まれていた茶番劇、こうなることと覚悟を決めていたはずなのに、胸に激痛が走る。
かくして、私は藤白坂の処刑場へと送られることとなった。
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私は踏み台の上に足を乗せ、用意されていた縄に自分の首をかけた。
もうこの世になんの未練もない。
天上で寂しくなさっているであろう父のもとへ、これから旅立つのだから。
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