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私の中で渦巻く疑問。
……あなた方が心から愛しておられるのは、一体誰なのですか……?
宴が御開きになり、皆がほろ酔い気分で各自の部屋に戻って行く。
私は回廊で額田を呼び止めた。
「まぁ、讃良(サララ)さま」
私のほうを振り向いた彼女はにっこりと微笑んだ。
相変わらず美しい。
じきに四十になろうかというのに、その美しさは衰えを知らない。
むしろ、ますます磨きがかかっているように思われた。
「先程は大変失礼いたしました。いくら大王さまのお申し付けとはいえ、大海人さまの正妻であられる讃良さまの前であのような歌を……」
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