小夜の寝覚

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それとも、もっと昔だったかしら? なぜこんなことになってしまったのか……あぁ、そうだったわ。 確か私はお父さまに……。 「皇太子さまのところに嫁ぐことが決まったぞ」 ある日、お父さまに突然こう言われた。 お父さまの横では、お母さまが、この世の春のように浮かれはしゃいでいる。 もちろん実際にはしゃいでいるわけではないが……少なくとも、私の目にはそう映った。 まぁ、一豪族でしかない賀茂(カモ)氏の女が生んだ娘が皇太子の妻になるのだから、浮き足立つのも無理はない。  
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