小夜の寝覚

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だが、ここは一応納得をしたようだ。 満足そうに頷き、瞳の奥をキラリと輝かせた。 皇太子さまはお優しい。 いつもふんわりと微笑まれて、一緒にいる人を幸せな気分にしてくださる。 はたから見れば、このお方に嫁いだ私はさぞかし幸せな女人(にょにん)なのだろう。 そう、自分でもそう思う……そう思うけど……。 「皇太子さまを愛しているか?」と聞かれたら、多分私は答えることができないだろう。 いい方だとは思うけれど、愛情は湧かない。 薄情な女だと自分でも呆れてしまうが、こればかりは仕方がないことだもの。 それでも、二人の間には待望の男の子が生まれた。
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