小夜の寝覚

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皇太子さまにそっくりな、色の白い綺麗な顔立ちの子。 私はようやくホッとした。 これで皇太子さまを愛することができるかもしれないと、微(かす)かな期待を持ったからだ。 子供が生まれたからといって、急に愛が芽生えるなんてことはないのだけれど……でも、この子への愛情が夫への愛情にも繋がるのだと、その時はそう思った。 お父さまも、さぞかし満足していることだろう。 私の役目は、皇太子さまの子供……それも男児を生むことにあったのだから。 政治のことはよく分からないし、お父さまが何を目指しているのか理解しようとも思わないが、心の奥底に秘めている野心が不意に伝わってくることがある。 その足がかりが私の結婚であり、男児の出産なのだ。 ……もう、そんなことはどうでもいいわ。
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