57人が本棚に入れています
本棚に追加
とにかく、私のかわいい息子に早く会いたい……。
産後の肥立ちがあまり芳(かんば)しくなく、私はしばらくの間、離れの薄暗い部屋で床(とこ)に臥(ふ)す日々が続いていた。
初めのうちは気分の晴れないこともあったが、それも徐々に回復していたし、子供に会える日を指折り数えて心待ちにしていた。
それなのに、それなのに……。
来る日も来る日も、私はこの暗い部屋から出してもらえない。
食事を運んでくる侍女に聞いても、目を逸(そ)らしてそそくさと退室してしまう。
他には誰もやってこない、孤独な毎日。
もう体はなんともないのに……何故?
私は決して頭の鈍い女人ではない。
だって、お父さまの血を引いているもの。
最初のコメントを投稿しよう!