小夜の寝覚

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己の孫ですらその手中に収めて、自分の傀儡(かいらい)にしようと目論(もくろ)んでいるに違いない。 そんなことはさせない……絶対にさせるものか……! あぁ、でも、今の私に一体何ができるというのだろう。 私は何もできない、あの子に真実を教えることも、お父さまの魔の手から守ることも。 なんて役に立たない母親なのかしら……。 ごめんなさい、ごめんなさいね……。 ……泣きはらす毎日を、どのくらい過ごしたのだろう? もう涙は枯れ果ててしまった。 泣いても何も変わらない、そのことに気づくまで、さほど時間はかからなかった。
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