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私は今、藤白坂に向かっている。
そこで待っているのは「死」だ。
絞首刑というのは、皇族という身分の私に対してのせめてもの配慮らしいが、それが安らかかどうかなど私には分からない。
分かっているのは、私はもうすぐ死ぬということ、ただそれだけ。
どうしてこのようなことになってしまったのだろう。
葛城(カツラギ)の毒牙から逃れるために狂人の振りをしたのが悪かったのか?
赤兄(アカエ)の企みを見抜けなかった私が愚かだったのか?
私は何も悪いことはしていない。
それなのに、何故……。
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