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しかし、彼はなおも講釈を垂れる。
いい加減鬱陶(うっとう)しくなってきたので、また明日の朝にでも話を聞くからと言って、さっさと彼を追い返した。
……それが、罠だった。
その夜、赤兄率いる朝廷軍が私の屋形を襲った。
私を反逆罪で捕らえるために。
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途中、磐代(いわしろ)の地で馬が止められた。
朝餉(あさげ)らしい。
朝餉……といっても、今や罪人の私がたいそうなものを口にできるはずもない。
水と、黒米を蒸したものを椎(しい)の葉の上に乗せただけの質素な食事。
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