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磐代の 浜松が枝(え)を 引き結び 真幸(まさき)くあらば また還り見む
〈万葉集巻第二・一四一〉
口にして、私は首を横に振った。
儚い期待など、持つものではない。
後に残るのは空しさだけだ。
それでも、ほんの少しの可能性に縋(すが)ろうとする、何と浅ましき姿よ……。
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赤兄が私の屋形を襲撃した四日後、私は紀の湯へと護送され、身体と両手首を縄で絞められた罪人の姿で伯母……大王の前に突き出された。
傍(かたわ)らには葛城の姿。
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