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謀反の意志などまるで持ち合わせていない私を、自分の即位に邪魔だからという理由で陥(おとしい)れた張本人だ。
一瞬、私の視線と彼の視線がぶつかり、火花が散った。
大王は、いまだ信じられないといった面持ちで、何故謀反など起こしたのかと私に詰問した。
信じられなくて当然だ、私は無実なのだから。
だが、今更弁解してもどうにもなるまい。
私の運命はすでに決まっている。
「すべての真実は天と……、天と蘇我赤兄が知っています。私は何も知りません」
そう答えると、私はありったけの力で葛城を睨みつけた。
“天”とは葛城、お前のことだ。
大王をもその手中に収め、己の欲望のままに突き進む獣(けだもの)よ。
私のこの恨み、一生背負っていくがよい――!
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