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夏休みを目前に控えたある日の事。 ――――5年3組の教室―――― 「なぁ,最近この辺に変な殺人鬼が出るの知ってる?」 クラスのリーダー格の俊也が,みんなに問い掛ける。 「知ってるー。」 「聞いた事あるー。」 俊也の問い掛けに,何人かのクラスメイトが答える。 「直弥君は,殺人鬼の話知ってる?」 隣の席の友美が話しかけてくる。 『うん,聞いた事はあるかな。』 小学5年生ともなれば,こういった噂話に花が咲くのである。 だが,直弥は違った。他のクラスメイトより落ち着いており,冷静だった 「噂によれば,殺人鬼と目が合ったら,目をくり抜かれるらしいぞ。」 直弥と仲の良い悟が言う。 『だったら,下を向いて歩いたらいい。』冷静に答える。 「殺人鬼の声を聞いたら,耳を切り取られるって聞いたけど。」 友美が不安そうに言う。 『だったら,耳を塞いだらいい。』 またもや冷静に答える。
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