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こんな事なら,目をくり抜かれた方が………耳を切り取られた方がどれだけましか。 そんな事を考える事は出来なかった。 思考を司る脳………頭は,直弥の体から離れたところにあるのだから………。 腕や足にも激痛が走る。 全く見えないため,何が起こっているのか理解できなかった。 生暖かい液体が,胸やお腹を濡らしていく。 直弥の手足は,完全に胴体から離れていた。バランスを失った体は,地面に崩れ落ちた。 バラバラになった直弥の体は,ピクリとも動かなかった。 主を失った頭は,奴の手中にあった。 ……………目を見開いたまま。 直弥の胴体だけが,道路の真ん中に置き去りにされていた。 胴体の周りには,夥しいほどの血液が飛び散っていた。 実は,噂には続きがあった。 目を合わせると目をくり抜かれる。 声を聞くと耳を切り取られる。 そして,もう1つ……………, 立ち止まると,首を切り落とされる。 奴から逃れるためには,奴と目が合う前に,声を聞く前に逃げる事。 だけど,奴からは逃げられない。 奴は100メートルを5秒ほどで走るのだから。。。。。。。。。。 ………そう,奴に狙われたが最後。 視覚か聴覚か………命を奪われる。
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