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「由莉亜ちゃん、可愛かったなぁ…」
桂太がそう言う。
そんな桂太を見て俺は言う。
「お前、いいのか?」
「何が?」
キョトンとした顔で聞き返してくる。
「華檻ちゃんの事」
俺の一言に桂太は顔を真っ赤にして身を引いた。
「なっ!カオちゃんとは何もないよ!」
凄く慌てている。
「何かあったんだな?華檻ちゃんと?」
俺はわざとおちょくる様に言った。
桂太はうつ向いた。
「何もないよ…何もないから辛いんだ…」
桂太のこんなにも切なそうな表情は初めて見た。
「告白しないのか?」
「しようとは思うんだけど、なかなか言い出すタイミングがなくてさ」
「きっかけがないって事か?」
「うん…」
桂太は俺の目を見て真剣に聞いた。
「どうすればいい?」
俺は困った。
何故なら俺にはあの事件がきっかけに彼氏に昇格したから。
「う~ん…」
「今度の新入生歓迎イベントで告白するしかないな…な?弟よ!」
一人の男が右肩をポンッと叩きながら話しかけてきた。
「何で、真宮がいるんだ!それにまだ、弟じゃない!?」
俺達の横から現れたコイツは真宮英一。
数学担当、今年も俺達の担任になった。
そして、俺の実姉で保健婦をしている由佳莉姉の彼氏でもある。
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