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「なぁ、今年の新入生は可愛い子揃いだって」
ニヤけながら話し掛けてくる桂太。
「ふぅん」
軽く受け流す俺に桂太は半ば諦めた様に言った。
「そうだよな、お前にはご主人様がいるもんな」
「ご主人様って……ご主人様じゃなくて…」
言いかけた時だった。
「誠!」
勢い良く教室に一人の女の子が入ってくる。
そして、迷う事なく俺の所に向かってくる。
「来たぜ、ご主人様が」
桂太が笑いながら言った。
「どうしたの?愛果…」
「どうしたも、こうしたも無いわよ!何でまた同じクラスじゃないの!!」
愛果は食い付く勢いで叫ぶ様に言ってきた。
「仕方ないよ…先生達が決める事だから」
俺がそう言うと愛果は伏せ目がちに口を開いた。
「……淋しいじゃない」
切なそうに、淋しいという言葉を口にする愛果が可愛くて堪らない。
「休み時間に会いに行くよ。お昼も毎日一緒に食べよう?」
頭を撫でる。
愛果が俺の手首を掴んだ。
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