00 得たモノ

2/2
前へ
/8ページ
次へ
「わ……私に、役の話がですか!?」 「そうよ。この前受けたアニメのヒロイン役のオーディションの時に、その監督さんがね、貴女を他の役の方に抜擢したそうよ。引き受けるわよね?」 「はい、話が来た以上、精一杯がんばります!」  マネージャーの伊藤さんに呼ばれて来れば、私に入ったのは仕事の依頼だった。今まではその話だけでのキャラクターなどと言う小さな仕事、初めてのレギュラーの話(それも抜擢という、凄い事)に気分はは舞い上がった。  彼女の嬉しそうな表情に、マネージャーも嬉しそうに持っていた紙を彼女に渡す。 「これが詳細。明日キャストの顔合わせがあるわ、遅刻しない様にね。」 「はい。――これって、実力……なんですよね!」 「そうよ、でもレギュラーだとしたら“彼”にバレるわね。」 「あっ!! ……まぁ、収録が始まれば何とか……。」  その苦笑じみた姿は、どこか困った雰囲気を持っていた。 「今日はもう帰っていいわよ。、何かあれば、メールを送るわ。」 「はい、ありがとうございます。」 (これが、最初)
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加