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「まさか龍樹、本気にしたのか?」
「は?」
龍樹はポカンとして、信長を見つめた。
「この儂が意識の無い者を襲うほど、飢えていると思うか?」
にっと意地悪く笑われ、からかわれたんだとわかった瞬間、頭に一気に血が昇った。
(騙された!!)
本当に最低の男だ。
何もされていないことに安心するよりも、騙されたことが頭にくる。
「本当に何様だよ!アンタ!!」
「騙されるお主が悪いのであろう?それとも期待しておったのか?」
「そんなことあるわけないだろ!!」
龍樹は赤面しながら、自分に絡みついた信長の腕を振り払い、距離を取った。
「そんなに警戒することはなかろう。儂のことを意識しておるのか?」
「だから!そんなわけないって、さっきから言ってるだろ!」
「ムキになる所が益々怪しい……」
「アンタね……」
(なんて、自己中な男なんだ)
怒鳴るのも疲れた龍樹は、これからどうやって、この男の毒牙から逃げようか考えていた。
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