†覇者の軌跡†

5/8
前へ
/41ページ
次へ
「まさか龍樹、本気にしたのか?」 「は?」 龍樹はポカンとして、信長を見つめた。 「この儂が意識の無い者を襲うほど、飢えていると思うか?」 にっと意地悪く笑われ、からかわれたんだとわかった瞬間、頭に一気に血が昇った。 (騙された!!) 本当に最低の男だ。 何もされていないことに安心するよりも、騙されたことが頭にくる。 「本当に何様だよ!アンタ!!」 「騙されるお主が悪いのであろう?それとも期待しておったのか?」 「そんなことあるわけないだろ!!」 龍樹は赤面しながら、自分に絡みついた信長の腕を振り払い、距離を取った。 「そんなに警戒することはなかろう。儂のことを意識しておるのか?」 「だから!そんなわけないって、さっきから言ってるだろ!」 「ムキになる所が益々怪しい……」 「アンタね……」 (なんて、自己中な男なんだ) 怒鳴るのも疲れた龍樹は、これからどうやって、この男の毒牙から逃げようか考えていた。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

607人が本棚に入れています
本棚に追加