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龍樹は玄関を出て、奥にある蔵に向った。
織田の本家である龍樹の家には、代々受け継がれてきた書物や造形品などを保管する蔵がある。
龍樹にはただのガラクタにしか見えないが、祖父曰く数千万円の価値のある物も保管されているそうだ。
(でも、祖父ちゃんはなんでも大袈裟に言うから、あんまりアテにならないんだよな……)
そうこう考えているうちに、蔵に着いた。
龍樹は錆び付いて開けにくくなった鍵穴に鍵を差し込んだ。
ギシッという音をさせて、扉が開いた。
龍樹は外の風で舞い散った埃に思わずむせた。
(相変わらず広いな、ここは。祖父ちゃん、本当に人使い荒ら過ぎだよ!!)
何かある度に祖父から命じられること――。
それは、この広い蔵の整理だ。
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