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「あ~。マジで埃っぽいよな、ここ」
窓から入ってくる微かな光に照らされて、埃の粒子が舞い散っているのがわかる。
(でも、窓を開けるわけにもいかないしな……)
第一、天井の近くにある窓に手が届くわけがない。
龍樹は諦めて、入口の扉を開けっ放しにした。
(ま、開けないよりはマシだろ)
龍樹は気を取り直して蔵の整理をすることにした。
あまり開けられることのない蔵の中は、蜘蛛の巣がはっていて、龍樹はそれを箒ではらいながら奥へ進んでいく。
(こんな汚い所に、お宝を置いててもいいのかよ?)
足下に注意を払っていなかった龍樹は、何かに躓いてバランスを崩し、とっさに近くにあった棚を掴んだ。
その衝撃で、棚の中身が落ちてくる。
(あっ!やべ!!割れ物だったら、むっちゃ祖父ちゃんに怒られるぜ……)
ヒヤヒヤしながら、足元を見ると数冊の本が転がっていた。
(マジで、驚かせるなよ……)
龍樹は、ほっと胸を撫で下ろした。
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