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「……っ!」
龍樹はとっさに身を翻して、刀を避けたが、少し掠ったのか頬にピリッとした痛みを感じた。
「ほう。儂の剣を避けるとは……」
目の前に刀を握った男が立っていた。
黒髪を一つに束ねた男は、今までに見たことのないほどの美形だった。
年の頃、20歳前後のその男は、軽く目を細めた。
(誰だ?この男。もう少し反応が遅かったら、確実に殺されてたぞ)
今までの相手にはなかった威圧感を感じ、背筋が冷たくなる。
(相手の出方次第では、俺の命が危ない……)
龍樹は無意識に退路を探した。
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