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――満月の夜……。
青年は一人で盃をかたむけていた。
外から入ってくる月明りが、青年の端正な顔を照らす。
色白の顔は一見優男に見えるが、まなざしがそれを裏切っていた。
切れ長の瞳は、底冷えしそうなほど冷徹な光を放っていた。
「今宵は満月か。なにやら起こりそうじゃ」
青年がそう呟いた時、外から微かな物音がした。
「……?」
青年は口許に不敵な笑みを浮かべ、側に置いてある刀を握り、外へ飛び出した。
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